2013年3月10日日曜日

贋作「ワールド・オブ・エレガンス」特集('12/10/23~'13/3/10)


2013年03月10日(日) 01:06:36
「もう、こんな時間なのね」
貴女がそう呟いたあの夜の事を思い出します。
僕はただ黙って、暗い港を出て行く貨物船の赤と青の航海灯を目で追っていました。
貴女がついたため息と、歩き始めたヒールの音を背中で聴きながら。
どうか貴女が幸せでありますように。
おやすみなさい。

--------------------------------------------------------------------------------
2013年02月23日(土) 01:00:01
あの夜、セーヌの畔を二人で歩いたことを思い出しています。
でも何故か貴女が羽織っていたコートの色が思い出せません。
きっと貴女のヒールの音が優しく響いていた事と寂しげな横顔に気を取られていたからでしょう。
今、貴女はどこでこの夜空を見上げていますか?
細川俊之でした。

--------------------------------------------------------------------------------
2013年02月22日(金) 01:41:14
貴女はもう、そのベルベットの様なまつ毛を伏せて夢の階段を登り始めてしまったのですね。
僕はただ一人、もうしばらく星明りの差し込む窓辺に立って貴女の寝顔を見つめていようと思います。
貴女の寝顔が微笑むまで、このまま一人で。
ワールドオブエレガンス。
お相手は細川俊之でした。

--------------------------------------------------------------------------------
2013年02月21日(木) 00:43:11
冬の夜空では星たちがささやきを交わし合っています。
冷たい風がそのささやきに聞き耳を立てながら通り過ぎて行きました。
今夜の貴女は、夢で誰にささやくのでしょうか。
少しだけ気がかりです。
おやすみなさい。
ワールド・オブ・エレガンス。
お相手は、細川俊之でした。

--------------------------------------------------------------------------------
2012年12月12日(水) 23:17:28
こんな寒い夜は、ターコイズブルーの深い深い湧き水の底を寂しげな眼で見つめていた貴女の横顔を思い出します。
あれは何年前の夏の日だったでしょうか。
暑い昼下り、二人、自転車で走った道は今ブルーブラックの夜が包み込んでいます。
果たせていないあの日の約束を覆い隠すように。

--------------------------------------------------------------------------------
2012年12月11日(火) 23:12:26
千切れ雲ひとつない、硝子のような冬の夜空を流れ星がひとつ。
あの星は、あんなに急いで誰の元に向ったのでしょうか。
まるであの日、貴女との約束の場所にひたすら走り続けた僕のようです。
もう間に合わないとわかっていたのに。
今でも振り向きざまに微笑む貴女の夢をみます。
きっと今夜も。

--------------------------------------------------------------------------------
2012年12月04日(火) 00:40:25
僕は、今夜最後の煙草を吸い終わりました。
あの時、貴女が呟いた大人びたひと言を思い出しながら。
僕が眠ったあとでも、ハドソン川には摩天楼の灯りがいつまでもさざめいているのでしょうね。
貴女の呟きの続きを夢の中に聴きに行こうと思います。
皆様おやすみなさい。

--------------------------------------------------------------------------------
2012年12月03日(月) 00:03:02
今夜の空は、閉店時間を迎えたジュエリーショップのショーウィンドの宝石達に覆い掛けられたベルベットの様です。
キラキラと輝く月も星々も、あのベルベットの下にあることを思い浮かべながら、眠りにつきましょう。
貴女が煌めく星座の夢を見ることができますように。
皆様おやすみなさい。

--------------------------------------------------------------------------------
2012年12月02日(日) 00:14:40
あの夏の日、湖面の照り返しの中で微笑んでいた貴女の面影はどこに去ってしまったのでしょう。
僕はただ舞い散る落ち葉を眺めながら、深いため息をひとつ。
雲が低く垂れ込める冬の空は、そのため息を吸い上げ、僕にこう告げました。
「早く暖かいベッドに入りなさい」
皆様おやすみなさい。

--------------------------------------------------------------------------------
2012年10月23日(火) 23:11:29
秋が刻一刻と深まって行きます。貴女の憂いを帯びた横顔に、ほつれた長い髪がまるで冬の哀しみの気配を表すようにかかっています。
こんな夜を、いかがお過ごしでしょうか。
細川俊之です。
ワールドオブエレガンス。
というわけで、寝る。


0 件のコメント: